第1章 パンダ、拾いました
みんなはパンダを飼ったことはある?私はある。
あれは雨の降る6月だった。私は仕事でクタクタになって、体を引きずるように夜道を歩いていた。
まったくもっていつもと同じ帰り道だった。ただ道ばたにゴミ袋が落ちていたことだけが、いつもと違っていた。
ゴミ捨てマナーがなってないなあ、と思って見た。けれどどうも、何かがおかしい。
そのゴミ袋は震えたり、揺れたりしているように見えた。
もしかしてネコか何かがゴミ袋を漁っている?
私は袋に歩み寄ってのぞき込んだ。
よくよく見るとそれはゴミ袋ではなかった。
まるまると大きく、泥で薄汚れたそれは、そう、それこそ
パンダだった。