第3章 おかえりのハーモニー
大貴「俺、ちょっと外国に旅に行ってくるわ」
大ちゃんがそんなことを言ったのは日曜の朝だった
いつものように2人は花凛の家のリビングでゴロゴロしていた
花凛「いや〜大ちゃんもすごい嘘つくな〜はは」
大貴「いや、本気だから」
その日の大ちゃんはやけに顔が真面目だった
花凛「永遠の5歳児が…??1人で旅行を計画して…?待って、いつからなの??」
大貴「明日から」
花凛「えっ学校は???」
大貴「それはどうにかする。有岡家のみんなには俺が旅行に行ってるの秘密な?花凛の家で一週間修行をする設定にしてるから。」
花凛「ちょっと勝手に私を使わないでよ…って、大ちゃん、一週間もいないの!?」
大貴「そ。もしかして寂しい?夜泣きしちゃう?(笑)」
さっきまで真剣な顔で話しかけていた大ちゃんがクシャッと笑った
花凛「別にそんなのしないし!私は薮くんとイチャイチャしてるし!一週間もあるなら薮くんの家に泊まらせてもらおうかな…??」
薮くんとは、看護学校で花凛たちと同じ学年の高身長イケメン男子のことだ
実は薮くんは花凛の幼馴染にあたる
そのことは大ちゃんも知っている
薮くんとは中学のときに気まずくなって以来、今もまだ話すこともできない状態だってことはあえて黙っている花凛であった
大貴「…!!!ダメ!!幼馴染とか危険すぎるよ!…薮だけはダメ!!」
花凛「じゃあ、教えてよ。何で突然海外旅行するなんて言い出したの?」
大貴「それは…ごめん言えない。」
花凛「ふ〜ん。じゃあ、どこの国に行くの??」
大貴「ごめん、それも言えない…」
花凛「へぇ……大ちゃん、最低だよ」
花凛はそういうとリビングを出て自分の部屋にこもってしまった
大貴「花凛ごめん!どうしても今は言えないけどしばらくしたら言うから!本当にごめんって!」
花凛は1人部屋にこもって泣いていた
大ちゃんはずっとドア越しに「ごめん!!!」と謝るだけだった