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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第7章 ワナにハマった俺のせい?






だが、ここまできたからには、逃す気は、ない。



ハッキリと言うなら、特別な用はない。
この部屋に来なければいけねぇなんて、緊急の用事は、な。



ただ、俺がここに来たかっただけ。

お前の部屋で、お前と一緒に、飯が食いたかっただけ。



ああ、もっと正直に言うなら……

触れたい、だな。



ただの104期の、同期としてではなく……

男として、お前の側にいられる時間が、欲しいだけだ。



「まぁ……、用は、ないな。」



そう小さく呟いて、千切ったパンを口に運ぶ。



……相変わらず味気ねぇな。



チラリ。
隣を見ると、恐る恐る、と言った様子で俺を伺っていた美咲の表情が、随分と和らいだ。

明らかにホッとしたような顔だ。

甘いな、ホント。



「だったら……」



そう口を開きかけた美咲を無視して、「でも」と続ける。



「まぁ、どうせまた来ることになるんだし、別に今日きて、ここで飯食っててもいいだろ?」

「へ……?」



間の抜けたような声を出した美咲。

俺の予想が当たっていたと理解する。



何を言う気だったのか、何となく分かってる。

多分、だが。

「部屋に来なくてもいいでしょ?」

とか何とか、そういった類いの正論だろ。



最後まで言わせなくて良かった。

そのやりとりを省けただけで、儲けモンだ。



俺はさっき組み立てたシナリオに沿って、美咲に向き直った。



「……もしかしてお前、あれで終わりだと、思ってんのか?」

「……な、にが……?」



俺が笑えば、美咲は引き攣る。



おかしいよな。

同じ空間で、同じモン食って、同じモン飲んで……
ほとんどを共有する俺達なのに。

その感情が全く逆なんてさ。



賢いお前が、まさか質問の意味が分からなくて、尋ねてんじゃ、ねぇだろ?

その答えを知りたくなくて、場を繋いでる、だけだろ?



顔は笑っているのに、俺の心が暗くなっていく。



この時間を楽しんでいるのは、多分、俺だけ。

なんて思うだけで、胸が締め付けられてるなんか、お前は全くと言ってもいい程に、気付かねぇんだろうな。




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