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【進撃の巨人】愛を込めて花束を(R18)

第12章 ヒトリの夜は誰のせい?






思い出されるのは、つい先日。

少しだけ開いた気がした、美咲の心の事。



舞い上がりそうになるくらい嬉しかった、が。



このタイミングで俺が団長室に伺って、誰がいるのかを確認しに行ったとしても、きっと彼女は不振に思うだろう。

多分、“あの人”が一緒にいるならば、彼女はそれを“良し”としない。



無理に美咲の心をこじ開けたって、仕方がないと分かっている。



美咲には、ちゃんと自分の意思で、俺の方を向いて欲しい。



……矛盾してるっつー事は分かってはいるつもりだ。

何しろ俺は、強引に身体を奪って美咲を縛り付けている。

俺のペースに巻き込んでしまおうと、目論んでいる。



だけどこれはまだ、一緒に過ごす夜の間だけの事。



俺の呪縛が通用するのは、隣にいる時だけ、だ。

リヴァイ兵長と一緒にいる美咲の側に行き、俺が何かをしても、きっと効果はほとんど望めない。



躊躇する理由は他にもあった。



……リヴァイ兵長と、二人きりかも、知れない。



団長室で、まさかそんな事はないだろうとは思ってみても、苦々しい思いが、心を覆っていく。

リヴァイ兵長の鋭い三白眼、そこに見付けた淡い行為がその想像を後押しするからだ。



逆に、もしも俺が様子を伺いに行ったとして。



エルヴィン団長から、「何の用だ」と聞かれたら。

特には何の用事も持ち合わせていないわけで。



……考えたら考えた分だけ、悪い想像が渦巻いて、眠れなくなるに違いはないが。



本音を言えば、今美咲が誰といるのか気になって仕方がない。

確認しに行きたい気持ちが、大きい。



だけど、そこで何を見るのか。
団長室にいる人物から何を言われるのか。



思わずその場にしゃがみ込んで、はぁ。と大きく溜息を吐いた。



「あー。もぅ、面倒くせぇ……。」




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