第1章 三角形 case1
そういえば、黒尾さんが夜にまた連絡くれるって言ってたような気がする。
慌てて制服の中に入れっぱなしだった携帯を取り出した。
着信はなくて、安心はしたもののメールが入っている。
【あんまり遅くまで出歩くな】
京ちゃんからだった。
機嫌が悪かった理由は判明したけど、納得はいかない。
【帰ったの9時前だよ。自主練終わるのを待ってる時と変わらないでしょ】
苛立ちもあって可愛いげのないメールを返した。
【家まで送れる俺がいる時と、一人で帰らなきゃならない時を一緒にしないで。】
すぐに返るメール。
【京ちゃん、過保護】
【さくらを心配して何が悪いの】
【心配掛けたのは悪かったけど、私だって京ちゃん以外の人と寄り道したい】
【それなら帰りは俺を呼んで】
【わざわざ迎えに来て貰わなくて結構です】
【俺が心配だから迎えに行くだけ。さくらは無防備過ぎるって言ったよね】
メールのやり取りなのに段々とヒートアップしてきた。
電話の方が早いような気もしたけど、確実に喧嘩になるからかけられない。
それはきっと、京ちゃんの方もそうだろう。
そんな中、着信が入ってボタン操作中の携帯は通話の状態になった。