第1章 三角形 case1
2人は、そのままの流れで、京ちゃんと黒尾さんがいかに分かりやすかったかを熱弁している。
周りから見ると、そこまで分かりやすい態度を取られていたのに、気付かなかった自分を呪いたくなった。
「…小熊ちゃんさ、相談したいって言ったけど私達2人が一致して赤葦がいいよ、って言ったら赤葦を選ぶの?」
やっと話が終わったと思ったら、こちらに飛んできた質問。
多分、そう勧められたら黒尾さんの良いところを並べてしまう。
逆でも同じで、黒尾さんを勧められたら京ちゃんの良いところを並べるだろう。
「それは、なんか違うと思います。…それで付き合って、もし後悔したら責任を先輩に押し付けてしまいそうです。」
何時も通り悩んで黙っても困らせると思って、すぐに答えを出した。
「でしょ?まぁ、相談じゃなくても悩んだら話は聞くからさ。…あ、マネージャーの仕事はちゃんとやってよー?」
最後は冗談みたいに軽い口調で話を締め括られた。
その後は、先輩達の恋愛談だの、噂話だので盛り上がる。
今まで同年代の女性と話す時は私のお金目当てだったり、京ちゃんと仲が良い事への妬み、僻みが多かった。
こんなにも普通の会話が出来る事に少し戸惑いもある。
でもそれは、くすぐったいような心地好い感覚で、解散するまで楽しくお喋りして過ごした。