第1章 三角形 case1
部活は無事に終わり、更衣室で着替えをして帰ろうとすると、二人のマネージャーに囲まれる。
「…で、小熊ちゃんはどっちが本命なの?」
やっぱり納得してなかったんだ、なんて溜め息を吐いた。
しかも、私が二股でも掛けているかのような話しぶりで返答に迷う。
「…先輩に相談があるんですが。ご馳走しますんで、この後はお暇ですか?」
やっと出た言葉。
友人と呼べる人が少なくて、相談相手もいない私にはこの際だから話してしまえと思う気持ちがあった。
「え。めっちゃ食べるよ、このコ。…奢りはいいから、話しなよ。ファミレスでも行く?」
「めっちゃ食べるとか余計だから。後輩に奢って貰おうとか思ってないし、良かったら行こう?」
優しすぎる先輩達の話に頷きで返事をしてから三人揃って更衣室から出た。
外はもう薄暗いけど、体育館の明かりはまだ点いている。
自主練で残っている京ちゃんには先輩と帰る事をメールして、昨日も行ったファミレスへと向かった。