第1章 三角形 case1
女子は、この手の話が好きなのは分かる。
私だって、人の恋話は好物だ。
だけど、昨日のはデートというよりは、ちょっと修羅場チックなものでもあった訳で。
誤解は解かないといけない。
でも、本当の事を話したところで、納得して貰えるとは思えなかった。
「…ホント、違うんですよ。黒尾さん、この前の合宿の私が怪我した時に居合わせたのでジャージ貸して貰ってて、それを取りに来て頂いたのでご飯を一緒しまして。
京ちゃんもご飯までは一緒にいたんですけど、用事で先に帰っちゃって。帰り道、捻挫が痛んだので手を貸して貰っただけで…。」
言えば言うほどに言い訳くさくなるのは分かっている。
しかも、昨日の出来事を思い出して顔は熱くなり、慌てて顔を隠しちゃったから、尚更だ。
先輩は、ふーん、と納得はしていないような返答と、ニヤニヤ笑顔を置いて、マネージャーの仕事をしにいった。