第1章 三角形 case1
時間は当たり前に進んでいく。
頭に入らなくても、黒板にある文字をノートに書き写す事ぐらいは出来た。
内容は右から左状態だったので、理解していなかったけど京ちゃん辺りに教えて貰えば問題ない。
すぐに、こんな甘えた思考になる自分に自己嫌悪した。
昼休みも、ご飯を食べる気にはならず。
机に突っ伏して過ごして、午後の授業も午前中と変わらずの状態で。
あっさりと一日の授業は終わり、放課後になってしまった。
部活の為に着替えをして体育館に移動する。
未だ怪我人の私を気遣って用意されたパイプ椅子に座り、本日のメニューが書かれたノートを確認していた時だった。
「小熊ちゃん、昨日は黒尾とデート?」
背後からの声にびくっと反応して後ろを振り返る。
楽しそうな顔をした先輩マネージャーが立っていた。
「ち、違います!」
慌てて反論しようとして、声が上擦っている。
「違うの?でも見ちゃったんだよね。小熊ちゃんが、黒尾と手繋いで歩いてるの。」
一番見られちゃいけない場面を見られてたと知った。