第1章 三角形 case1
そういえば黒尾さん、メール読んだかな。
返信が一向にないし、誤解が解けてなくて、連絡をくれなくなったら嫌なんだけど。
携帯を眺めながら教室まで歩いた。
もう一度、メールしてみようか。
まだ朝のホームルームまで時間もある。
席に着くと、携帯のメール画面を開いて操作した。
返信が無いのは忙しいからかも知れないし、しつこいとか思われるかな。
文章を考えても浮かばず、メールの画面をただ見ているだけの状態で固まっていると携帯が振動する。
メールの受信ではなくて、まさかの電話の着信。
相手は今考えていた黒尾さん。
慌てて通話ボタンを押して教室から出る。
絶妙すぎるタイミングでの電話に心臓が飛び出しそうだった。