第1章 三角形 case1
朝食が終わると食器を片付けようと重ねて立ち上がる。
だけど、持った食器はすぐに奪われた。
「さくらは着替え。俺が片付けるよ。」
そういえば、さっきは京ちゃんが部屋にいたから着替えていない。
家事の手伝いを頼むのは悪いと思ったけど、全部やっている時間はない。
「…有難う。」
仕方なく片付けはお願いして、自分は着替えに部屋に戻った。
急いで着替えてリビングにユーターン。
すでに片付けを終えて、登校する態勢になっている京ちゃんが待っていた。
「そろそろ行くよ。」
京ちゃんは、私の荷物を持って先に出ていく。
キッチンから二人分のお弁当を持って、テーブル上に置きっぱなしだった携帯を取って、忘れ物を指差しで確認してから家を出た。
登校中も気まずくなるのが嫌で、普段と変わらない他愛のない会話をする。
昨日の話も、今朝の話も、出したくはなかった。
学校に着いて鞄を渡されると交換するようにお弁当を差し出す。
京ちゃんは少し驚いてから受け取って、自分の教室へと向かっていった。