第1章 三角形 case1
リビングでご飯やお味噌汁をテーブルに置いていると、京ちゃんが入ってくる。
慣れた様子でソファーに座って、私が席に着くのを待っていた。
小さい頃からお互いの家は行き来していたし、お泊まりだって何回もしている。
だから、この光景は私も慣れている筈なんだ。
でも、さっき京ちゃんに男を感じてしまったばっかりで。
私に普通の顔が出来る訳がない。
早起きして、朝ごはん作って、お弁当まで用意して、なんて。
早朝に起こされた時にも思った、新婚ネタが浮かんでくる。
考えれば考える程に恥ずかしくなっていった。
「…いただきます。」
「いただきます。」
時間稼ぎのようにキッチンをウロウロしてたけど、そんなに時間の余裕はない。
やっと席に着いて、朝食を始める合図の言葉を発した。
京ちゃんも礼儀のように、言葉を小さく言ってから食べ始める。
勿論、気持ちがぐちゃぐちゃになっているから、味なんか感じている場合じゃなかった。