第4章 ‐case2‐endnig.
玄関に向かう途中、冴子ちゃんと夕くんが居て。
「さくら、何があっても、私はさくらのダチだからな!」
「さくらさんの魅力が分からない龍が悪いんですっ!この俺は、貴女の美しさを、よっく知ってますからっ!」
2人は、結果は分かっているような口振りで声を掛けてくる。
「有難う。」
間違っていないから、苦笑いと一声だけ返して外に出た。
「さくらさんっ!お送りしますっ!いえ!させて下さいっ!」
すぐ後ろから、夕くんも出てきて横に並んでくる。
歩きながら話すのは、会っていなかった間にあった出来事。
主に、部活関連の事で。
夕くんは、体全体を使って喋っている感じで、とても忙しなく見えた。
その全てがパワーを持っているみたいで、落ち込んだ気持ちも吹き飛ばしてくれる気がして。
家に着く頃には、少しだけ笑えるようになっていた。
「夕くん、送ってくれて有難う。」
「俺がやりたかっただけなんで、気にしないで下さいっ!」
家の前で挨拶して、今日はお別れ。
そう思ったのに、夕くんは帰ろうとしない。
ソワソワして、いつも以上に落ち着きもなかった。
チョコ待ちだと分かるけど、もうチョコはない。
あるのは、プレゼント用のマフラーだけど、アレを渡すのは悪い気がした。