第4章 ‐case2‐endnig.
迷っていても埒が明かないし、夕くんに帰れとも言えない。
「夕くん、龍くんに渡したくて作ったプレゼントならあるの。貰ってくれる?」
真実を隠して渡して、変な期待をされても困る。
だって、そんなにすぐ切り替えられる程度の、軽い気持ちじゃなかったんだ。
簡単に、夕くんを好きになる事はない。
それが嫌なら、夕くん宛は用意していないと正直に話そうと思っていたのに…。
「それでもいいっす!でも、来年は俺の為に用意して下さい!」
夕くんは、驚く程にあっさりと、それを受け入れてくれた。
「じゃあ、持ってくるから待ってて?」
「はい!」
元気のある返事に見送られて、一旦部屋に戻る。
隅に置かれたプレゼントを手に取ると、また涙が出そうになった。
本来渡したかった相手に着けて貰えない物。
それを受け取るのは、私を真っ直ぐに好きだと言う人。
マフラーにも、夕くんにも悪いのは、分かっている。
それでも、私からのプレゼントを待ってくれている夕くんに応えたくて、玄関に戻る。
「また泣いてんすか?俺なら、さくらさんを泣かせるより、いっぱい笑わせてやりますよ。」
「はい、これ。もう今日は帰って貰える?」
瞳に溜まった涙に気付かれたのが恥ずかしくて。
プレゼントを押し付けてしまうと、すぐに扉を閉めた。