第4章 ‐case2‐endnig.
何も言葉が出てこない。
龍くんに言われなくても、フラれたらそうするつもりだった。
それを口に出す事すら出来ない。
また気持ちを疑われるのが怖いのもあったけど。
フラれたのが辛すぎて、声が出せないのだ。
それだけ、この人が好きだった。
もしかしたら、2人を高校生だからって下に見て、本気になろうとしなかったのは…。
こうなりたくないから、自分で張っていた予防線だったのかも知れない。
予防線を払い、本気になって、フラれてから気付いても遅いのだけど。
「…あ、わっ!ホント、スンマセンっ!」
冷静になろうと、頭の中で色々と考えていると、すぐ傍で慌てたような声がする。
滲んで、よく見えない中で、人型のシルエットが手をバタバタと振っていた。
「…ごめんね、龍くんを困らせて。」
涙を拭って立ち上がる。
これ以上、ここに居ても辛いだけだ。
私も、龍くんも。
「ちゃんとフってくれて、有難う。」
多分、もう会う事は無いと思う。
だから、最後は笑顔を見せたくて、頑張って作った。
「俺も、さくらさんみたいな人に、好きになって貰えて嬉しかったっす!今まで、色々とアザッした!」
龍くんは、意図を分かってくれたみたいで、笑顔を返してくれる。
「うん。じゃあ、元気でね。部活、頑張って。」
「はいっ!さくらさんも、お元気で!」
しっかりと下げられた頭にサヨナラを告げて、部屋から出た。