第4章 ‐case2‐endnig.
部屋の中に残された龍くんと私。
あまり長い時間は取れないだろうから、隠していた鞄からチョコレートを取り出す。
「龍くん、これ…。」
「お…おぅ。あ、アリガトウゴザイマス。」
声が震えて、それ以上は言葉にならなかった。
龍くんの方にも、緊張が伝染してしまったみたいで、お礼が何故か片言になっている。
そこからは、沈黙。
「あの、これ…ノヤっさんにやるってのは、出来ないんすか?」
破ったのは、龍くんの残酷過ぎる言葉。
「…出来ないよ。私の本命は、龍くんだから。…私、やっぱり、龍くんが好きなの。」
すでにフラれるのは分かっている。
だけど、真っ直ぐぶつかると決めていた。
「スンマセン!」
勢いよく下げられた頭と、定番のお断り。
先に分かっていたのに、辛くて視界が滲んでいく。
「俺っ!さくらさんに、俺の事好きなまんま、ノヤっさんの事も考えて欲しいってマジで思ってました!
そんで、俺も、潔子さんの事を好きなまんま、さくらさんの事も考えてみようとしました。
だが、俺には出来ねぇっ!やっぱ俺は、潔子さんに永遠の愛を誓ってんだ!
だから、俺の事は諦めて真剣にノヤっさんの事だけ考えてやって下さい!」
早口で捲し立てるように連ねられていく言葉は、1ミリの可能性すらみせてくれず。
私は、完全に失恋した。