第2章 ‐case1‐ending.
それなのに、黒尾さんは、私の言葉を止めるように首を振っている。
まるで、私の決断を聞きたくないみたいだ。
「…友達として、また遊びましょうってんなら、お断りだからな?」
その理由は、少し低くて恐ろしい声によって判明した。
どうして、こんな勘違いをされているのか分からない。
「お前さ、赤葦と兄妹みたいなのに戻れて、心地好い状態だろ。
大事な幼馴染みのお兄ちゃん、失いたくねぇよな?
だから、俺とも友達で、たまにこうやって遊べる関係になりたいとか、思ってね?」
毎晩の電話で、京ちゃんの名前を出しまくっていたのが、こんな部分で効果を出していたと、やっと理解した。
「思ってません。私、黒尾さんと友達は嫌です。」
誤解は、ちゃんと解く。
「だから、オーケーの返事、させて下さい。」
そして、ちゃんと伝える。
「お前は、それで良いんだな?」
黒尾さんは、何回も瞬きしてから私の本心を確認するように瞳を覗いてきた。
「…はい。私は、黒尾さんが好きです。」
意図した形では無かったけど、眼を見ている。
口から、言葉が出ている。
黒尾さんが早く何か言ってくれないと、恥ずかしくて逸らしてしまいそう。
でも、私は逃げずに見詰め返した。