第2章 ‐case1‐ending.
‐黒尾side‐
大人ぶった顔をし続けた事を、今更後悔している。
3人デートの後、小熊が俺を選んだだろうってのは分かった。
それで、赤葦に対して罪悪感が全く無かった訳でもねぇ。
好き、の年期が違うからな。
だからって、たった1日でこれからも兄妹みたいに付き合っていきます宣言をされるなんて、誰が思うよ?
次のデートまで、まだ日があったから。
それまでは、毎晩でも電話して、楽しみな気持ちを育てようと思ってたが…。
『京ちゃん、今日は調子良かったんですよ。トスも綺麗に上がってたし、サーブ練習もミス無くって。』
この調子で、毎晩のように京ちゃんを連呼していやがる。
俺が妬くか試してんのかと思って、1回は京ちゃん話を止めろと言ったが、バレー関係以外の話題が思い浮かばないと返ってきたもんだ。
小熊にとって、バレー=京ちゃん、の図式は完全に出来上がってやがった。
その上、俺は大人で、自分達の関係を否定しないから大丈夫だと、信じ込んでやがる。
否定はしないが、毎晩他の男の話題はキツいっつーの!
小熊の天然さに、若干の苛立ちを覚えたまま、初デートの日がやってきた。