第2章 ‐case1‐ending.
京ちゃんは、微かに眉を寄せて、手を引っ張ってくる。
強引にタオルの上に座らせられて、押し倒すような形で寝転がらされそうになったけど、意地でも横にはならない。
「さくら、言う事聞いて。別にお前だから構ってるんじゃないから。
俺さ、思ってたより人の世話焼くのが、好きなんだよ。さくらじゃなくても、具合悪そうにしてたら、同じ事やるよ。」
攻防戦を繰り広げる中、意外な言葉が聞こえてきて、抵抗を緩める。
その隙に、床に押し付けられてしまった。
この体勢は、色々とヤバいのでは…。
さっきの、私を油断させる為に言っただけだったら、どうするんだ。
身体を護るように縮めたけど、何かをされる事は無く、京ちゃんが離れていく。
「…何驚いた顔してるの?」
「いや、だって…。ほら、ねぇ?」
コレ、押し倒された訳ですよ。
それで何もせずに離れるとか、据え膳食わぬ恥じゃないの?
京ちゃんに何かされたいとは、これっぽっちも思ってないけどさ。
「悪いけど、人の女に手を出して修羅場になるのはゴメンだから。」
言葉が、胸に突き刺さる。
苦しい。
だけど、今が私の答えを伝える最大のチャンスだと思った。