第2章 ‐case1‐ending.
黒尾さんを見送って、熱を持っていた顔が冷めていく。
冷静になってくると、重大な事を確認し忘れた事に気が付いた。
今の私達の関係って、何?
もう、私の返事は分かっているだろうけど、はっきり言った訳じゃない。
付き合ってると言えるのか分からない。
電話を貰った時に確認すれば良いの?
いや、それで明確な返事をする事になったら、逃げずに眼を見て答えると決心したのが無駄になる。
だからって、こんな曖昧なままじゃ、京ちゃんにだって何て言って断ればいいのかも分からないし…。
悩んでいる内に時間は過ぎ、黒尾さんからの電話が入った。
目の前に居る時よりは普通に話が出来たけど、悩みの種になっている私達の関係については聞けずじまいで。
次の休養日にデートする約束だけをして、電話は終わってしまった。
携帯電話を握り締め、考えるのは京ちゃんの事。
黒尾さんとの関係がはっきりしていなくても、お断りの返事が決まっている。
黒尾さんが、うちに来る直前まで一緒に居たなら、結果を分かってそうだけど。
察してくれる事に甘えたら、私は結局変われない。
どうすれば良いかなんて分からず、この日はよく眠れなかった。