第2章 ‐case1‐ending.
勘の良い人だとは思っていた。
だけど、電話に出たくらいで、こんなに確信したように言えるものかな。
もしかしたら、京ちゃんの電話の時は、たまたま携帯から離れていただけだった可能性とか、考えないのかな。
電話に出た以外で、分かりやすい事をした覚えが…。
「…で、だ。小熊は、俺との初デート、どっか行きたいトコあるか?」
あった。
黒尾さんに言われるまで忘れていた。
会いに来てくれるなんて、予想外の事が起きててパニックになってたんだ。
「…どこでも、良いです。」
何も答えない訳にはいかない。
自分から誘っておいて、行きたい場所もないなんて申し訳ないけど。
こんな状況で、それを考えるなんて無理。
「じゃ、一緒に行きたいトコ考えような。そういう話すんのも、デートの醍醐味だろ?」
同意を求めるような言葉尻の上がった声と共に、体が離された。
不意打ちのような状態で顔を覗かれて、最後の抵抗とばかりに視線だけを逸らす。
「ぶっ!顔真っ赤。」
好きなのだと自覚してしまった人に抱き締められて、デートの話とかしていたら、そりゃ顔に血も集まる。
否定は出来ないのが悔しくて、唇を少しだけ尖らせた。