第2章 ‐case1‐ending.
黒尾さんは、私の聞きたい事を分かっているみたいで。
「さっきまで、赤葦ん家に居たんだよ。お前に連絡取れた方が会いに行くっつー賭けしててな。
淋しがりなお姫様は、声を聞いたら会いたくなるだろ?」
私の疑問を、すぐに解決してくれた。
確かに、別行動していたのなら、京ちゃんの電話が鳴り止んで、すぐ後に黒尾さんの電話なんて、そう起こりっこない。
一緒に居たからこそのタイミングだ。
私の性質を知って、望みを叶える為に、近くで待機してくれていたなんて。
嬉しくて涙が出てきた。
「あー、もう。お前はすぐ泣く。」
「だって、私、凄く甘えたで…。迷惑ばっか、掛けるのに、甘やかしてくれるの…嬉しいから。」
嗚咽の混ざったちゃんと喋れているか、自分だって分からないような声で。
それでも、嬉し涙だというのは伝わったみたいで、抱き寄せられる。
「王子様は、お姫様には甘いモンなんですー。」
上から落ちてくる言葉は、ふざけているけど。
その内容で、私が自分の意思で黒尾さんを選んでいる事は、すでに気付かれていると知った。
驚きで涙が止まる。
だけど、恥ずかしすぎる状況で顔を見せられる筈が無く、お腹の辺りに押し付けて隠した。