第1章 三角形 case1
誰が来たのかは分からないけど、ラッキーだと思ってしまった。
京ちゃんと2人きりは、精神的に辛すぎる。
だけど、扉を開けた先には、もっと心労を増やしてくれる人物が居た。
黒尾さんだ。
京ちゃんと鉢合わせして、修羅場になる展開が予想出来る。
「誕生日オメデト。」
しかも、教えていない筈なのに、今日が何の日かを知っていた。
お祝いに来てくれたなら、追い返せない。
「え?あの?なんで?」
差し出されている可愛らしい紙袋も受け取れず、未だに信じられなくて何度も瞬きする。
「7月って言ってたろ?愛の力だよ、愛。」
こういう時、ふざけた事を言うのは、この人らしいと思ってしまったけど。
「日付までは教えてませんよ。」
納得が出来るかは、また別の話。
どうやって調べたかを私は知りたい。
個人情報が漏れてるなら、怖い話だし。
「だから、その日付を当てんのが愛の成せる技だろ?」
「外れてたら、どうするんですか?」
更にふざけた返しがあっても、やっぱり納得は出来なかった。