第1章 三角形 case1
京ちゃんを避け続け、黒尾さんとは連絡を取り続け。
普通なら、完全に黒尾さんに決めてしまうような状況になっていても、やっぱり京ちゃんの事も気になり。
気持ちが固まる事はないまま、夏が近付く。
私の誕生日も、近付いている。
16歳になる。
結婚が出来る年齢になるから、恋愛解禁。
そう宣言していたからには、この日を境に2人は答えを求め始めるだろう。
分かっていても決められない中でも、時間は無情に進んで。
とうとう、その日がやってきた。
例によって、例の如く。
私に興味のない母親は家に居らず。
「また居ないの、あの人。さくらの誕生日くらい、休むと思ってたけど。」
訪ねてきた京ちゃんの相手をする事になった。
最近の私の態度を責める訳でも無く、ケーキが入っているらしい箱を渡される。
「…あ、ありがと。」
「どういたしまして。」
お礼と、それに返す言葉だけで、会話は終了。
気まずい。
気まずすぎる。
だけど、お祝いに来てくれたらしいのに、すぐに追い返す訳にはいかない。
母的には、夜中に突然来たり、私の部屋に泊まったりしなければオーケーだと言われていたから、家に上げた。