第1章 三角形 case1
いや、もう昨日の時点で遠慮とかしてなかったでしょ。
そう突っ込みたいし、何より離れたい。
布団の中でもがいてみたけど、簡単にはいかず…。
「狭いんだから、暴れないで。」
がっちりと、抑え込むように身体に絡む腕。
本格的にアブない態勢になってしまった。
こ、これは…。
覚悟決めなきゃダメでしょうか…。
伺うように、京ちゃんの顔を見た。
「…あれ?」
京ちゃんの両目は、きちんと閉じられていて、規則正しい呼吸が聞こえる。
身体を抑えていた腕の力も、徐々に緩んでいった。
ガン寝、ですね。
確かに今日も部活あったし、夜も遅いから眠たかっただろうけど。
人の事を、散々怯えさせておいてコレはないんじゃない?
安らかな寝顔にイラッとして、頬を摘んでやった。
少し眉を寄せたくらいで起きやしない。
ここまでの熟睡具合なら、離れても気付かないだろうと、ベッドから抜け出した。
学校があるから、寝なきゃいけないのに眠る気には到底ならなくて。
仕方がないから、部屋から出て、リビングで朝まで過ごした。