第1章 三角形 case1
小さい頃は、こうやって同じ布団でお昼寝とかしてたけど。
精神的なものはともかくとして、体は大人とそんなに変わらない。
確かにベッドで寝て、と言おうとはしていて、それを汲んでくれたのは分かる。
だけど、そういうコトに対する知識も興味もある、思春期の男女が一緒に寝るのは間違ってる。
「…京ちゃん、コレは流石にマズイと思う。」
「何が?」
「京ちゃんは男で、私は女だよ?」
少し驚いたように目を瞬かせる京ちゃん。
「兄妹みたいなもの、なら気にしなくていいと思うけど。」
闇に慣れた目に、はっきりと映る艶のある京ちゃんの顔。
「…確かに俺は男で、さくらは女。血は繋がってない。気にするなら、さくらも意識してくれてるって取るけど、いい?」
否定は出来なくて、沈黙。
「さくらは困ると黙るよね。いつもみたいに否定しないなら…。」
首の下を腕が通って引き寄せられた。
「もう、遠慮せずに攻めさせて貰うから。…覚悟しろよ。」
喋る度に吐息が掛かる位の距離で目に入る顔は、焦点が合わなくてぼやけていたけど。
唇の端が上がって、強気な笑みを浮かべているのだけは分かった。