第1章 三角形 case1
京ちゃんは電話を強制終了させただけでは、気が済まなかったようだ。
床に正座をするように言われ、お説教タイムが始まった。
下手に言い訳して長引かせるよりも、黙って聞いていた方が良い。
こっちが、謝る以外をしない事で思ったより早く説教は終了した。
まぁ、それでも思ったより早く、なだけで。
終わった頃には日付が変わってた。
いくら家が近いといっても、運悪く補導なんかされたら、インハイも近いのに部活停止も有り得る。
京ちゃんの見た目で未成年に見えるかは怪しいけど、念のため家に泊まって貰う事にした。
「私、リビングで寝るから京ちゃんベッド使って良いよ。」
「風邪ひくよ。俺が押し掛けたんだから、別に床で良いし。」
「京ちゃんこそ、体痛めたらどうするの?木兎さんにトス上げられなくなったら困るでしょ。」
「俺としてはさくらが具合悪くした方が困るからベッドで寝て。」
今度は寝る場所の事で言い合いが始まる。
結局、時間が勿体無くて私が折れた。
いや、折れるしか無かった。
京ちゃんは私を心配する事に関しては過剰なくらいだから、いくら言っても聞いてくれる筈がない。
諦めの中、布団の中に潜り込んだ。