第1章 2月14日
星夜さんは?
星夜さんは受け取ってくれないの?
やっぱり、迷惑...?
「俺は要らね。
甘いもんあんま好きじゃねェんだよ」
「そ...っか。
ごめんね!
ちゃんと聞いてから作れば良かったね」
涙が溢れそうになるのを必死で堪え、笑う。
「美織さん...」
「じゃあこれは私が食べちゃうね!」
そう言ってチョコレートの封を開ける。
「おい」
「んむ.....んぐ... 」
大きく口を開け、ハート型になっているチョコレートを頬張っていく。
涙はすぐそこまで迫って来ている。
なんとか堪えないと...!
「おいっ」
後ろを向いて食べていたら、グイッと腕を後ろに引かれた。
その反動でチョコから口が離れ、星夜さんと目が合う。
「何泣いてんだよ、お前」
「泣いてない」
「じゃあ、なんでそんな泣きそうな顔してんだよ」
「してないよ」
「嘘つくんじゃねェ」
顎を持ち上げられ、目線を合わせられる。