第1章 2月14日
「星夜さん、今日なんの日か知ってる?」
待っててくれたら嬉しいな、と少しの期待を込めて尋ねる。
「あ?
あー.....」
コーヒーを一口飲み込むと、言った。
「知らねェ」
「そっか」
まぁ、そういうイベント事には興味ない人なのかもとは思ってたけど。
いざ知らないって言われちゃうと、渡しにくいよ...。
せっかく昨日頑張って作ったのにな、チョコレート。
どうやって渡そう...。
いや、もうこの際渡さないって手も...。
「.....今日、バレンタインデーですよね?
美織さん」
「へ?
あ、そう!そうです!
流石烈さん、知っててくださって良かったぁ...」
烈さんが居てくれたお陰でチョコレートが渡しやすくなる。
「私、お2人にチョコレート作って来たんです。
もし良かったら受け取ってください!」
鞄から、可愛くラッピングされたチョコレートを2つ取り出す。
「良いんですか...?」
「はい!」
「ありがとうございます。
嬉しいです」
ニコッと優しく微笑み、受け取ってくれる烈さん。