第1章 中学
「ねえ、りんっち、今日一緒に帰らないっスか?」
部活の最中にそう声をかけられた
「・・・ほかに誰かいるの?」
「二人で」
「・・・」
とうとう、やだって言われちゃうんだろうな
だって、わざわざ涼太から一緒に帰ろうなんて事前に行ってくるんだもん
好きになられても迷惑だから、みたいなこと、言われるんだろうな
ああ
「いいよ」
それでも、このままよりはいいのかもしれない
自分の気持ちに整理を付けるいい機会なのかもしれない
なのに、ちょっと泣きたくなる、弱いなぁ
帰り道、いつもより口数が少ない
何を話していいのかわからない
足元を見ながら歩く
暗くて遠くまで見えない
「オレ、りんっちに言いたいことがあるんスよ」
「・・・うん」
わかってるよ、覚悟してきたもん
「こっちみて」
「やだよ」
それでも、泣きそうな顔してる、上げられない
言われること、もう大体予想付いてるのに
「見ろって」
きつい口調とともに顎を取られる
そのままグイっと上を向かされて
そのまま、唇に柔らかい感触
「・・・?」
状況認識が不可能
なになに?どうなってるの?
すぐに離れたそれを目で追う
涼太の、唇
「な、え、なに?なんで?」
パニック丸出しの震えた声
だってわけがわからない
「好きっス」
え??頭が真っ白になる