第1章 中学
「これから、一週間、りんっちが勉強教えてくれるんスか?」
涼太がキラキラした瞳を向けてくる。
「そのつもりだけど」
「だったら、オレ、絶対いい点数取るから」
「頑張ろうね」
「あ、でも、りんっち、自分の勉強できないんじゃ・・・」
「大丈夫だよ、気にしないで」
「でも」
しゅんとしょげたような表情。
「涼太が部活できなくなることのほうが大変だし、赤点なんて取らないから」
「・・・自慢スか?」
恨めしそうにこちらを見つめる。なんだかおかしくてあたしはクスクスと笑った。
「涼太もよくするじゃんか」
それに対しての返事はせず、うーんと何かを考えている彼。少しの間があってから、彼は口を開く。
「じゃあ、テスト終わった日、なんか奢らせて」
「え、いいよ、ほんとに気にしないで」
「オレが奢りたいんすよ、ね?」
いい笑顔で、そんなことを言う涼太。
なんですかそれ、なんか顔が熱くなる。
え、もしかして赤くなってるんじゃない?
そしたら好きってバレちゃうんじゃないかな?やばいよね?
「りんっち?」
「なんでもない」
机の上に突っ伏す、赤くなってる顔見られてくない。
「どしたんスか?」
「なんでもないって」
顔を上げられないでいるあたしに、涼太が楽しそうに笑ってたなんてことはわからなかった。
(あれあれ、脈アリっスか?)