第1章 中学
涼太は、殿堂入りしたみたいだった
途中からなんだか直視できなくなっちゃって見てないけど
「これで、まいう棒も、手に入るっス、よね?」
息が切れている
「やったね、涼太!」
そう言うとブイサインが返ってくる
「きっと、貰えるよ、ね、テツ君!」
「あれ、テツヤは?」
テツヤがいない
あれ、辺りを見回す
「んー、いつからいなかったっけ?」
「……わかんない」
「テツ君、どこ!?」
さつきが慌ててその場を離れようとした時
「どうかしたんですか?」
テツヤの声
「テツ君!?よかった!もーどこ言ってたの!?」
半泣きのさつき、ほんとにテツヤのこと大好きなんだなぁ
「景品取りに行ってたんです」
テツヤが敦に、お菓子の詰まった袋を差し出す
どうやらテツヤも涼太のとなりでリズムゲームをしていたらしい
……気がつかなかった
さつきが気がつかなかったことにショックを受けている
「それに、黄瀬くんの得点だと、お菓子セットじゃないですよ」
「ええ!?マジっスか!?」
「中級モードで高得点をマークするとお菓子セットですけど、最高得点をマークすると、景品は別になっちゃうんです」
「オレの努力って……」
がっくりと肩を落とす涼太
「じゃあ、その景品もらってくるっス……。りんっちも来る?」
「え?」
なんで、と驚いてると、涼太が目でさつきとテツヤを見る
ああ、気を使ってるのか
「そーだね」
それでも一緒に連れていってくれるのが嬉しかった
自然と笑顔が浮かんだのが自分でもわかった