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私の妖精アカデミア【更新停止中】

第10章 亀裂


【八百万目線】

「お姉様…」

ごめんなさい、と一人残った部屋で呟く。謝る相手はもう行ってしまったというのに。

「お姉様を傷つけたいわけでは無いのに…」

私はベットに近づいて跪(ひざまず)くと、ベットの下から先程隠した物を引っ張り出した。

「…これを見られてしまったら、疑っていると思われても無理もありませんわ」

それは八百万家の書庫から持ち出してきた書物だった。内容は全て“個性”に関する事柄が書かれている。

幼い頃は全然気にしなかった。ただただ「八雲様の“個性”は凄く強くて綺麗」と思っていた。

だが自分達が大きくなるにつれて、だんだん違和感を感じ始めた。

_暁お姉様は、本当に“個性”持ちなのだろうか_

逆にあれが“個性”でなければなんなのだ、とも思うが…まだ雄英高校に入る前の学生時代のあの時、同じクラスの方達が噂しあっているのを聞いてしまった。

_「なぁなぁ、八雲の“個性”っておかしいよな?」
_「あー確かに!俺も前から思ってた!あんな強くてかっこいい“個性”なんてチート過ぎじゃね?」
_「本人は複合型だとか言ってるけど、有り得ねーよ!」
_「俺、時々思うんだけどさ…八雲の“個性”って敵向きだと思うんだよなー」
_「確かに!つかあいつ_」

__まじで敵だったりして!

その言葉に私は固まってしまった。今すぐあの男子達の前に出て今の言葉を否定したかった。
けど、出来なかった。

“まじで敵だったりして!”

その言葉が頭の中で繰り返される。

「(確かにお姉様の出生なんて誰にも分からない…お姉様自身も、自分の親の顔も知らないと言っていたし…でも、)」

暁はたまにフラっといなくなる事があった。最初は迷子になったのかと心配したが、ちゃんと夕飯前には帰ってきていた。

どこに行っていたのか聞くと、暁は決まって『安心する場所』と答えた。

八百万家の家は信用出来ないと言いたかったのだろうか。百が泣きそうな顔をすると、暁は決まりが悪そうに謝った後、こう答えた。



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