第10章 亀裂
「…暁お姉様が気になさるほどのことではありません。私の個人的な問題ですので、大丈夫です」
『百…』
やはり、隠されてしまった。百の事だから、あっさり話すなんてことは無いと予測してたけど…でも、このままあやふやになるのも我慢ならない。
『百。貴女の個人的な事に首を突っ込むのは申し訳ないけど…でも、やっぱり見ていないふりなんて出来ないよ』
「……」
百は黙って下を向いて私と目を合わせないようにしている。それだけで私を拒絶しているのはなんとなく分かる。
けど、相手に拒絶されているからと言って諦めていい理由にはならない。私は百に1歩近づく。
『……百_』
「もう遅い時間です。もうそろそろお休みになられた方がよろしいかと思います」
そう言って百は私に背を向ける。
_完全に拒絶されてしまった_
この状態だと何も話してくれないだろう。私の言葉に耳を傾ける様子もない。
『……分かった、お休み…っ』
目頭が熱くなってきた。ここでは駄目だ、早く自分の部屋に戻らなくては。急いで手の甲で目元を覆い、百の部屋を出る。
ドアを閉める寸前、百がこちらを見たような気がした。