第9章 初めての実践
あの後、緑谷君は保健室行きになった。リカバリーガールも苦労するだろうな…。
そんな事を考えている内に、とうとう私の番が来た。
「_さあ!これで全部のコンビは終わったぞ!いよいよ君の番だ、八雲少女!!」
『そ、そうですね…(毎度声が大きいな)』
皆様々な“個性”で、見るだけで圧倒された。あの中から二人、私は相手をしなければならない。
「八雲君の対戦相手は……コイツらだ!!!」
先生が取り出したボールのアルファベットは…
「俺らとか!よろしくな八雲!」
「女だからって手加減しねぇからな!」
『もちろん私だって手加減しないよ。よろしくね、鋭児郎君、瀬呂君』
私の相手はJコンビ…つまり切島&瀬呂ペアだ。
「チーム分けは…よし。Kは敵、Jはヒーローにしよう!各自持ち場について!」
「お姉様、ご健闘をお祈りします」
『ありがとう百。行ってくるね!』
__ビルの一室にて
『鋭児郎君は硬化、瀬呂君はテープだったね。彼らを欺(あざむ)くには…』
非常に狡(ずる)いけど、この竜の力を使わせてもらおう。今まであまり試す機会が無かったし丁度いい。
『モード〈幻竜〉…“幻竜の吐息”』
ビルの部屋という部屋、通路という通路を白い霧でいっぱいにしていく。
『さあて…二人はこれに対応できるかな?』
《_それでは、訓練開始!!》
「なぁ瀬呂、八雲の“個性”の事だけどさ…」
「あー、確か火とか水とか出せんだろ?しかもそれを操れるって言ってたよな」
「十年前の水の竜を出したの、八雲だったんだな…まさか俺らと同い年とは思わんかったわ」
「俺もそれ思ってた!プロヒーローよりかっこよかったから、どんな奴が出したのかと思ったら…まさか同じクラスの、しかも女子なんだもんな」
『(…全部丸聞こえなんだけど)』
そろそろ二人の所に来るかな、“あれ”が。
予想は的中のようで、二人の騒ぐ声が聞こえてきた。
「おい、切島!あれ何だ!?」
「知らねぇよ!!…霧か?水蒸気か何かじゃ…」
暁が発生させた“白い霧”は、徐々に二人を覆っていく。
「スンスン…あれ?何ともねぇぞ。むしろ空気が綺麗になったっつうか…」
「なに悠長に嗅いでんだよお前は!!毒かも知んねえんだぞ!」
『(出そうと思えば出せるけど…)』