第104章 【番外編】美味しい愛
「おっす、お待たせ」
(最悪なタイミングで待ち合わせしてた……)
今から部活のコーチングに来てもらう約束をしていてそれを待っていただけだというのに、とんでもないことを話してしまった。
目線から悟られないようにぱっと手で隠す。
周りの友達の視線は刺さる……。
「???」
「ま、また明日!今日は講堂借りれたのでこっちですよ〜」
と無理矢理手を引いて移動した。
講堂にはまだ誰もいなくて、走って疲れた私の息だけが響く。
「おい、走ってどうしたんだ?」
「や、なんでも…ちょっと気まずい話しちゃって…」
と苦笑いするとムッとされる。
「俺に聞かれるのがか?」
「ちょっと違います……?」
考えながら返事すると頭に疑問符が浮かんでしまった。
「なんだよそれ」
ふっと笑われて、油断していたせいか大分きゅんきゅんとときめいてしまう。
「大したことじゃねえなら言えよ」
後ろから羽交い締めにされて低く囁かれる。
私がそれに逆らえないのをよくわかっていらっしゃる…。
ゆっくり振り返って触れるだけのキスをする。
「……最近、口でサせて貰ってないなぁ…って…」
と小さく呟くように言ったら、繋心さんはげほげほと噎せて咳をする。
「は???」
「シてもいいんですよ…私は…」
と言うと顔を赤らめて驚いたように睨む。
「…そんな話、他人にするなよ」
「繋心さん、私に気を遣ってます…よね?」
「そりゃ、あんな話聞いたら…」
「じゃあ…シたい、って、言ったら…?」
ズボン越しのソレに手を掠めて上目遣いで聞くと、繋心さんは腕を組んで考え込んでいる素振りを見せる。
「お前が嫌じゃ、ないなら…」
「もちろんです!絶対満足させます!」
「いやそこまでは求めてない……」