第102章 【番外編】ご褒美
都内で試合が行われるため、残念ながら私は見に行くことを諦めた。
出発日、皆を見送りし、最後に繋心さんにぎゅっと抱きついた。
いつもなら恥ずかしくて引き剥がされるのに今日はそのままでいてくれて凄く嬉しかった。
背中と頭を優しくぽんぽんとされ、周りからひゅーひゅーという歓声が聞こえてくるのもお構い無し。
煙草のにおいが微かにして、しばらくこのにおいともお別れだと思うと泣きそうだった。
「いいんですか?お留守番で」
可愛い後輩くんたちにもそう言われつつ、笑顔で手を振った。
「邪魔できないから…ね」
数日後の夜、自室で勉強をしていると、携帯がチカチカと光った。
開くと繋心さんのお友達の方だった。
『功労者に褒美を』
と一言添えてあって少しおかしくて笑ってしまった。
でもなぜか嬉しくて、目がうるうるとしてくる。
明日会えるんだと思うと楽しみだった。
ドキドキしてあまり眠れなかった。
ご褒美と言われても何したらいいかわからなくて、何したらいいと思います?とお友達の方に送ったら
『ハグだけでいい』
と短く返されてしまってちょっと困った。
そんなの私がされたい側なのに…。