第2章 Morning Kiss【至】
『…お仕事、頑張って下さいね!』
本当は もう少し、一緒に居たい…。
なんて、我が儘な気持ちを
隠すように笑って見せる。
けれど…
「無理してない?」
『えっ…?』
どうして…
簡単に見抜かれてしまうのか。
『し…、してないですよ…?』
「そう? ならいいんだけど」
嘘をついた罪悪感から
至さんの顔を直視出来なくて。
足元に視線を落とし
ギュッと唇を噛む。
その時――。
そっと、伸びて来た
至さんの大きな手が
頭の上に乗せられて…
よしよし、と
優しい手つきで髪を撫でた。