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淀んだ世界で【SOUL EATER/※R15※】

第4章 課外授業【マカ・ソウル編】



 マカは歩いていた。スタスタと後ろを振り返る事もなく。

 課外授業でやって来たのは、テンプティと呼ばれる人で溢れる賑やかな街。縁日のように道に店がズラッと遠くの方まで並んでいる。

 マカが足早に歩くのには訳があった。ここの住民である店主たちは、ほとんどが店の前に立ち、街に来た者たちを強引に店に連れ込んだり、やたらと声を掛けてくるからだ。

それと、もう一つ。

「キャ~、可愛い~!!!!」
「ねぇ、ボクゥ~。お姉さんたちと遊ばない?」
「え……いや……」

 綺麗なお姉さんたちに囲まれ、鼻の下を伸ばすソウル。

「デレデレしちゃって、バッカじゃないの!!」
そう叫びたかったが、マカは下唇を噛み締め、グッと堪えた。

 歩く足を更に早め、ソウルとの距離は開くばかり。

「マカッ!!!!」

 自分の名を呼ぶ彼の声にも振り返らない。彼女なりの【怒ってます】アピールだ。

「マカーッ!!!!」
「……ソウル?」

 けれども、たかが距離が離れたくらいで必死に自分の名を彼が呼ぶだろうか?

 何時だって、COOLを掲げているソウルだ。迷子になった子供が母親を探すときのように、大声で名を叫ぶとは考えにくい。

 魂を通わせた者同士だからなのか、マカの魂は「ソウルが危い」と直感した。

 しかし、時既に遅し。彼女が振り返ると、ソウルと綺麗なお姉さんたちの姿は消えていた。
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