第4章 課外授業【マカ・ソウル編】
マカは歩いていた。スタスタと後ろを振り返る事もなく。
課外授業でやって来たのは、テンプティと呼ばれる人で溢れる賑やかな街。縁日のように道に店がズラッと遠くの方まで並んでいる。
マカが足早に歩くのには訳があった。ここの住民である店主たちは、ほとんどが店の前に立ち、街に来た者たちを強引に店に連れ込んだり、やたらと声を掛けてくるからだ。
それと、もう一つ。
「キャ~、可愛い~!!!!」
「ねぇ、ボクゥ~。お姉さんたちと遊ばない?」
「え……いや……」
綺麗なお姉さんたちに囲まれ、鼻の下を伸ばすソウル。
「デレデレしちゃって、バッカじゃないの!!」
そう叫びたかったが、マカは下唇を噛み締め、グッと堪えた。
歩く足を更に早め、ソウルとの距離は開くばかり。
「マカッ!!!!」
自分の名を呼ぶ彼の声にも振り返らない。彼女なりの【怒ってます】アピールだ。
「マカーッ!!!!」
「……ソウル?」
けれども、たかが距離が離れたくらいで必死に自分の名を彼が呼ぶだろうか?
何時だって、COOLを掲げているソウルだ。迷子になった子供が母親を探すときのように、大声で名を叫ぶとは考えにくい。
魂を通わせた者同士だからなのか、マカの魂は「ソウルが危い」と直感した。
しかし、時既に遅し。彼女が振り返ると、ソウルと綺麗なお姉さんたちの姿は消えていた。