第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器
「コホン」と死神様は重くなった空気を払うように咳払いし、話し始めた。
「マカちゃんとソウルはスキルアップのために、時雨と火ノ丸はパートナーになるために、少し難しい授業を受けてもらったのよ~」
「確かにスキルアップ出来た気がする……ね、ソウル?」
「あぁ。いつもよりパワーのある一撃が繰り出せた」
あの時の二人は互いを信頼し、重なった魂の波長は膨大な力を生み出した。
「時雨と火ノ丸は?」
向けられた死神様の顔。時雨は視線を足元に逸らした。火ノ丸と魂の波長を合わせ、時雨は彼が他人を信じる事が出来ないのだと気づいた。何か過去に大きな傷を心に受けたのかもしれない。
「……別に、コイツが俺様に合わせてくれるなら、組んでやってもいいぞ……」
「……へ?」
意外な火ノ丸の言葉に時雨の動きが止まる。死神様は拍手をしながら喜び、マカやソウルも二人に向け、グッドサインを送っている。
「……あんなに嫌がってたのに……」
「う、うっせー!! 俺がいいって言ったら、それでいいんだよ!!」
「はいは~い! 二人とも、おめでとさん♪ じゃ、君たちを今からパートナーとします。二人で力を合わせて、98個の魂と魔女の魂1個を集めて、デスサイズの武器にして、ちょ~だい」
「はい! よろしくね、火ノ丸!」
「オゥ! 俺様の足引っ張んなよ! ……時雨」
差し出した手と手が重なる。……私は、もう独りぼっちじゃない。
火ノ丸という新たなパートナーと時雨の新たな幕がゆっくりと上がり始めた。