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淀んだ世界で【SOUL EATER/※R15※】

第1章 一人ぼっちの職人と新たな武器



「ねぇ……。あの人、いつも独りじゃない?」
「確かに!」
「知ってる? あの人……実はね……」

 ある女子生徒に目を向けながら、ヒソヒソ話す生徒たち。死武専では、職人と武器がパートナーを組み、行動を共にしている。そんな中、ある女子生徒にはパートナーが居らず、浮いている存在だった。

 女子生徒の名は、時雨。
成績優秀で、他人を寄せ付けない雰囲気がある。そのため、友人は多くない。職人ではあるが、一人でも充分に強い生徒だった。

 ……武器が無くても、私は強い。……そう、武器がいなくても……。女子生徒は下唇をぐっと噛み締めながら、自分自身に何度も言い聞かせた。

「ソウル、どこ行く気?」
「あ? トイレだよ、トイレ」
「……とか言って、次の授業、サボるつもりね!」
「は? COOL(クール)なこの俺がサボる訳ねーだろ!!」
「そんな事言って、この間の授業サボったじゃない!」
「……こ、今回はサボらねぇよ!」

 教室の最前列で言い争いをしているのは、2つ縛りをした少女と銀髪の少年。

 少女の方は優等生で、誰とでも仲良くなれる鎌職人のマカ。彼女の父 デスサイズは、死神様の武器である。

 少年の方は、彼女の武器のソウル=イーター。ソウルは有名な音楽家の子孫で、ピアノが得意らしい。だが、彼が人前で演奏することはなかった。クールを売りに、女子から人気を集めている。

 真逆な二人。そんな二人の魂の波長は噛み合わず、いつも不安定だ。

 だが、パートナーのいない時雨の目には、マカたちは微笑ましく映っていた。自分もまた誰かと笑い合えたら……と、パートナーと寄り添うことを夢見てしまう。
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