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淀んだ世界で【SOUL EATER/※R15※】

第6章 課外授業【夢主編】



「大丈夫か、君!!」

 若草色の制服を着た三人の男が火ノ丸に駆け寄り、彼を起き上がらせた。

「イテテテ……。ありがとうございます」
「ん? 見かけない顔だが、観光客か? こんな夜分に何をしてたんだ?」
「すみません。道に迷っちゃって……」
「この街では、夜八時以降の外出は禁じられている」

 どおりで人の姿が見当たらないわけだ。「すんません」と小さく謝る火ノ丸に男たちは「今日だけは大目に見てやろう」と慈悲をかけた。

「それで、どこの宿泊施設に泊まっているんだ?」
「親御さんも心配しているんじゃないか?」

 嫌な質問が飛んできた。火ノ丸の顔を見て、すぐに観光客と見抜いたくらいだ。街の宿泊施設を把握していないはずがない。下手に嘘をつけば、すぐに嘘だとバレてしまう。かと言って、ルルーノの名を出せば、彼女たちに迷惑がかかる。

「宿泊施設の名を忘れたのか?」
「……お前、本当に観光客か?」

 どうしたものかと考えていると、火ノ丸の携帯が鳴り響いた。電話の相手は、時雨である。「助かった……」と本音が火ノ丸の口から溢れた。

 疑いの目を向けている彼らに「母さんから電話が着ました」と告げると、「良かったな。迎えに来てもらった方がいいぞ」「疑って悪かったな」と言い残し、彼らは巡回を再開させた。疑い深いわりに、あっさり人を信じた彼ら。何はともあれ、火ノ丸が命拾いしたことに変わりない。

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