第1章 〜先生は魔王?〜
『俺は、宮廷騎士長の烏丸だ、E組の諸君、席に着いてくれ!』
『えっ!?』ザワザワザワザワ……。
騎士長が何しに?
『今日は、君たちにお願いがあって来た。ここへ連れてきたコイツのことは、みんなが知っていると思うが……人類の敵。魔王だ。』
『どうもはじめまして。魔王です。』
………!!?
ヒソヒソ…魔王…あれが?!見た感じ序盤のザコモンスターだよな!?
『失礼な!!聞こえてますよ!!』
『見た目に騙されるな!コイツの実力は、今までに現れた魔王の中でもダントツだ!』
『ダントツで素早い!!』
(魔王がすばやいの!??)
『とても素早く、ほとんどの攻撃をよけてしまうマッハスライムを知っているな?』
(そんなモンスター知らない…。)
『コイツはその100倍は早い!…自信をなくして走るのを辞めてしまったマッハスライムも少なくない!』
(引退させちゃったのかよ!!)
『当然、我々の攻撃は全く当たらない。』
烏丸騎士長が剣を振るう。
『あてるどころか武器の手入れをされてる始末だ!』
ピカーン!!
『見ろ!鍛え直されて攻撃力があがっている!』
【はがねのつるぎの攻撃力が+5あがった!】
『それだけぢゃない!勇者が今から入るダンジョンの宝箱も自慢の早さで先に全部集めてしまう!』
『もちろん全部磨いて戻しておきますけどね〜!ヌルフフフフ』
(戻すのかよ!!)
『世界中に散らばっている魔王を弱体化させるオーブも、すぐにすべてを集め、キレイに磨いて勇者の枕元に置いてとおくといった具合だ…』
(本当に人類の敵なの…?!)
『我々をナメているだけだ!見ろ!緑のシマシマになった時は、ナメてる顔だ!』
(どんな皮膚だよ!!)
『話を戻すが、頼みたいことというのは、まあ単刀直入にいうと…君たちに魔王を殺してほしい!』
(いや…無理でしょ!!!)
『魔王のすばやさは置いといても…僕らスライムに負けるんですよ?!』
『スライムも二度見してたよね…』
『それどころか、最近はスライムが逆に俺たちで経験値稼いでるくらいです…。』
烏丸(スライムにそこまでナメられているのか…)
『私たちには無理だよ…。』
『なんで僕たちなんかに…。』