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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い


 まあ冷静に考えると、私の方がひどいっすけどね。
 一松さんはほとんど寝ずに、私のため走り回ってくれたのに。
 私が一番、ダメな奴だなあ。

 ごめんなさい。
 にゃーと鳴き、顔を舐める。
 すると一松さんは私を見下ろし何か言った。

『××、×××……』

 頭を撫でられ、至福。足下に転がり、お腹を見せてバタバタする。
 顔を近づけ、一松さんの口にキスをする。
 一松さんの空気もようやく和らいだ。
 笑って私を撫でながら独り言のように言った。

「このままでも、いいのかもしれないな……。
 猫なら、出て行かないで……ずっと、俺の、そばに……」

 ん?

 起き上がる。だが一松さんは目を閉じていた。

 ……寝てる。そういえばほとんど寝てませんでしたよね。

 でも座ったまま寝るなんて、身体に悪いなあ。

「一松さん、起きて下さいよ」

 身体を軽く揺さぶる。
 ……あれ?

 自分の身体を見下ろす。人間の私だ。

 世にも奇妙な子猫薬。効果は一日半? また中途半端な。
 
「一松さん、元に戻りましたよ、ねえ!」

 喜んで起こそうとし、止める。
 部屋の外に気配がないことを慎重に確かめ、
「…………」
 一松さんに、私の方からキスをした。

 起こさないようにそーっと横にし、添い寝の姿勢になる。
 寝顔はとても可愛い。
「ありがとう、一松さん」
 とつぶやき、目を閉じた。

 …………

「ついに……ついに我が家がラブ○にっ!!」
「布団敷きなよ。上手くやったみたいだけど、畳だと掃除がしにくいよ?」
「えー!? 一松兄さんと松奈、×××したのー!?」

 翌朝、童○どもの絶望的な声に起こされた。
 誰でもいいから、私が戻ったことを喜んで下さいよ……。

 畳の上で寝たから身体がちょっと痛かった。
 
「ふーん、戻ったんだ」

 一松さんは一転して、冷たかった。 
 しくしく。

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