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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



 でも私はもちろん、飛びついて大喜びでお出迎え。
 まとわりついて、うるさく鳴いて、しばらく離れなかった。

 ずっと遊んでくれたカラ松さんは、そんな私を笑顔で見ていた。
 一松さんも少し微笑み、私を撫でたり遊んでくれたり。
 
 でもその後から、だんだんと一松さんの機嫌が下降していった。

 なぜだろう、と私はカラ松さんに身体をこすりつけながら首をかしげる。
 カラ松さんはすごく困った顔に見える。弟の機嫌が悪いからであろうか。
 
 え? 何でカラ松さんかって?
 だって私をウザがらないし、ずっと遊んでくれるし、何をやっても怒らないし。
 だから、一松さんとの再会が一段落した後は、ずーっとカラ松さんにまとわりついてた。

 
 今はカラ松さんの服に潜り込み、全力で喉をゴロゴロ。
 一松さんは全身から黒いオーラを立ち上らせる。
『××××……×××××、×××××?』
 カラ松さんが私の身体を押し、一松さんの方へやろうと……。
『×××××!! ×××!! ×××××っ!! ×××××!!』
 一松さんが立ち上がり、ちゃぶ台をバンと叩き、何やら怒声。

 他の兄弟が一斉に、自分のご飯を確保し、ちゃぶ台から遠ざかる。

 カラ松さんは、半分怯えたみたいな顔。
 でも私のことは守ろうとしてくれるのか、腕で庇っている。

 ……もしかして一松さん、私がカラ松さんにべったりなのが気に入らない?

 いいじゃないの、別に。

 カラ松さんのふところから出てきて、そろ~っと一松さんの足にすり寄るが、
『××××! ××××××!!』
 うわ怒られた!! すっごく面倒くさいモードに入ってるぞ一松さん!!
 子猫に気遣われる大人って、どうなの実際。
 他の六つ子は戦々恐々。カラ松さんも困った顔。
 一松さんは……。

 …………

 …………

 やっぱり虚無に入ったか。
 食事後、一松さんは私の部屋で膝を抱えていた。

 い、一松さーん。

『×××××……』

 拒まれた。
 兄弟げんかで自己嫌悪になる人じゃないし、やはり私が原因なのか。
 何度か鳴いてすりすりすると、ようやく頭を撫でてもらえた。

 ホッ。
 
 安心して、膝の上に乗ると喉を撫でられた。ゴロゴロゴロ。
 全く。ダメな大人だ。

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