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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第7章 派生③おそ松&チョロ松END


「就職?」
 この永世無職だろう二人が?
「だってあれから一ヶ月も経ってないのに!!」

「ハタ坊……じゃない、昔の友達に仕事を斡旋(あっせん)してもらってさ。そいつの会社じゃないけど、関連会社のかなり良いとこを紹介してもらったんだ」

 何かを思い出したように、なぜかケツを押さえながらチョロ松さん。
 職歴空欄のくせにアッサリコネ就職とか、真面目に就活してる人たちに謝れっ!!

「その際、彼女と結婚するから住むところを探してるんだって、さりげなーく言ったら、自分のことみたいに喜んでくれて、お祝いダジョーって、このマンションを用意してくれたんだ」

 持つべき者は友だよなーと腕組みしてうなずく、おそ松さん。

「いえその友達自体も何者って感じですが、お友達に仕事も家も、何もかも世話をしてもらうって、男のプライドないんですか、あんたら!!」

「いいじゃない。一松だって、君の金で誘拐監禁したんだし」
「チョロ松さん、それとこれとは、また話が別問題ってか!」
「大丈夫だよ。そいつにはちゃんと恩を返す。いい仕事をするからさ」
「そういうのはお仕事を三ヶ月続けてから言って下さい、おそ松さん!」

 一方で焦りがじりじりと心を浸食する。

 何か……詰んできた気がすんだけど……。

 元の世界とか、そういう問題では無く、もっと深い何かが。

「設備もいいけど、このマンションはやっぱりセキュリティがすごくてさ」
「複製不可な解除カードとパスワード、あと顔認証をパスしないと、出ることも入ることも出来ないわけ」

 何じゃそりゃ。どこの政府要人の邸宅だ。
 こういうマンションにサイコパスと閉じ込められるホラー映画ってあったなあ。
 
「――て、『彼女と結婚するから』って何すかソレっ!!」

「あ、今頃反応した」

「だから一つの会話にツッコミどころをいくつも入れるのは悪手だって言っただろ、おそ松兄さん。
 一つ一つにツッコむために全体のテンションを上げなきゃいけないから、小まめに切り替えないと、だんだん冗長になってくるんだよ」

 ツッコミ役の重い言葉であった。

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