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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第7章 派生③おそ松&チョロ松END



「一松さんーっ!」

「松奈! 待ってて! 必ず君を助けに行くからっ!!」

 そして目の前で扉が閉まる。


 力を失った私は、二人に迅速に引きずられていった。
 外に出て、久しぶりの日の光に当たるけど全然嬉しくない。
 一松さんの隠れ家は、やはり廃家屋を利用していたようだ。
 家の前には車が停まっていた。

「さ、乗って乗って」
 私を後部座席に押し込み、チョロ松さんが横に座る。

「どうする? 病院に行く? 体調はどう?」
「最悪です」
「大丈夫そうだね。じゃ、『あそこ』に行こうか」
「聞けや」
「よし、出発ー!」

 おそ松さんがエンジンをかけ、車が出発する。
 私は振り向き、最後にもう一目、一松さんを見たいと思ったけど、それはついに叶わなかった。

 …………

 …………


「松奈。起きて、ついたよ」
「ん……?」

 疲れてずっと寝ていたらしい。もう松野家についたのか。
 この二人に再会したのは最悪だけど、もう一度、他の皆に会えるのは嬉しい。
 それに待っていれば、いつか一松さんも帰ってくるだろう。

「……て。え?」

 目をぱちくりさせる。
 そこは松野家でも何でもない、良さげなマンションの駐車場だった。

「こっちこっち」
 私を引っ張り、おそ松さんが入り口で何やらカードをかざす。

 するとロックが開き、マンション入り口が開いた。
 そして引っ張られるままエレベーターに乗り、チョロ松さんが上の方の階のボタンを押すのをボーッと眺める。何これ。どこに連れて行かれるの?
 そしてドアが開いて長い廊下を歩く。

 あるドアの前で、またカードをかざすと今度はボタンのパネルが出た。
 そのボタンをいくつか押すと、最後に何やら画面が出る。
 おそ松さんがそれを操作すると、ドアが開く音がした。

「さあ、帰ってきたよ」

 中を見て呆然とする。
 そこは明らかに上流階級向けの高級マンションだった。

「何ですか、ここ?」
「うん、俺たち三人の家だよ」
「へー」

 ……。

「ええ!?」

「松奈、驚くのが遅いよ」と鼻の下をこするおそ松さん。
「いや、だって。何で急に!!」
「うん。実は俺たち、就職してさ。もう家を出てるんだ」とチョロ松さん。
「…………」

 急展開すぎて、一瞬、頭がついていかなかった。

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