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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第7章 派生③おそ松&チョロ松END




「私、あなた方のどちらとも結婚する気、ないですからね!?」
「うん。そもそも松奈って、ここの人間じゃないから、結婚は無理だよね。
 婚姻届出せないし。存在しない存在っていうか」

 ううう。ちょっとグサっと来ることを。
 けどゾッとする言葉でもある。

 存在しないから、どうなろうが誰に気にかけられることもない。

 いると認めさせたところで、最悪、不法滞在扱い。
 収監されたり国外退去させられたりしかねない。

 だから警察に駆け込むことも出来ない。


 
「そうだ、お二人とも、他人様の力とは言え、もう擬似的な一軍ですよね!?
 仕事してるし、こんな高級マンションに住めるようになったし!
 これから合コンで女の子が連れまくりですよ!?
 どうぞご自由に浮気なさって下さい。私は一松さんとひっそり生きます!」

 ドアに飛びついて全力でノブをガチャガチャさせるが、開きやしねえ!

「一松も馬鹿だよなあ。金の使い方も増やし方も知らないんだから」
「ちょっとネットを使えるようになったからって、得意そうにしてたけど、根っこはアナログなんだよね」

 後ろで呑気に会話しつつ、近づいてくる足音が怖い。

 そして肩に手が置かれる。

「松奈。新しいベッド、見たくない? 松奈のためにここまでしたんだから、俺たちもやっぱり色々と反応が見たいよなあ」

「浮気なんてしないよ。女の子が引いちゃうかもしれない仕事だし。松奈のことは、おそ松兄さんとってのがちょっと嫌だけど……僕は一途だから」

 え? どういう仕事なの? でも手を取られ、ガタガタと身体が震える。

「どういう仕事だろうと、こ、こんな高級マンション、いつまでも借りられるワケが……」

「そうだよな。能力が無ければすぐどん底まっしぐららしいから、頑張らないと」

「もちろん大変だと思うけどね。でも好きな人のためなら、僕ら頑張れる気がするんだ」

 そう笑う二人の顔は……悔しいが、少し頼もしい。
 このクソニートども。あくまで本人達にやる気が無いだけで、一旦、ベクトルが正しい方向に向かえば、意外な有能さを発揮することがある。

「じゃ、行こうか」
「松奈をいたわってあげないと」

 気がつくとガッシリと両腕を拘束され、ベッドルームに連行されていく。

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