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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第7章 派生③おそ松&チョロ松END



「ふーん。夕飯、手羽先だから」
「ういっす! 楽しみでありまっす!」
「うん」

 パタンとドアが閉まり、私は安堵の息をつく。
 外に出たいと思った気もするけど、とんでもない間違いだった!!

 働かなくていいし、一松さんが守ってくれるし、ここは超楽園ですな!!

 ベッドに寝っ転がり、鼻歌交じりに一松さんが手羽先を持ってきて下さるのを待った。

 だが間も無く、遠くでドアが開く音が聞こえた。

「!!」

 そして何かの怒鳴り声と言い合い、乱闘の音。

 私は身を縮こませ、来るな来るな来るなと念じる。
 だがついにドアが蹴破られた。

「松奈、もう大丈夫だ、お兄ちゃんたちが助けに来たぞ!」
 おそ松さんが笑顔で立っていた。

「一松さん、助けて下さいっ!!」

「ん? 一松ってコレのこと?」
 おそ松さんが、片手にさげたズタボロな紫の何かを指さした。

「一松さんっ!!」
 駆け寄ろうとしたけど、

「うわ、可哀想に。手錠なんかされちゃって」
 チョロ松さんに止められた。

「もう心配しないでいいよ、俺たちが助けに来たからね」
「いや、あんたらに引き渡される方が心配だから! 私、ここにいたいですから!!
 一松さん、一松さん、一松さんーっ!!」

「一松。松奈が監禁生活でおかしくなってるだろう。おまえのせいだぞ」
 おそ松さんが、うめく一松さんの腹にまた一発くれる。

「止めて! 一松さんにひどいことをしないで下さい!
 私を助けるために色々してくれたのにっ!!」

 チョロ松さんに腕を押さえられながら、一松さんに手を伸ばそうとする。

 そして一松さんは――私を見上げる。
 私がどんなに言葉を尽くして説得しても信じなかった、よどんだ瞳。
 その瞳に、かすかな光が戻っていた。

 私も自覚する。一松さんのしたことはひどいことだった。犯罪だ。許されない。
 でも……それでも、そんなに嫌じゃ無かった。ずっと、ここにいたかった!

「松奈……!」

 一松さんは、私に手を伸ばそうとした。私もその手に手を伸ばし――。

「さ、松奈。行こう。もう一松には会わせないから安心して」
「止めて下さい、チョロ松さん! 離してっ……!」

 暴れるけど、おそ松さんも加わり、私と一松さんの距離は引き離されていく。

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