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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第7章 派生③おそ松&チョロ松END



 …………

「おそ松兄さんとつきあって、今、幸せ?」

 陰鬱な目で聞いてくる一松さん。

 おそ松さんはパチンコ、チョロ松さんはハロワに出た日のことだ。
 台所で、疲れた顔で家事をしていたら、一松さんが来た。
 一松さんから話しかけてきたのは、ずいぶん久しぶりだ。

「……ちょっと、分からないです」

 現状は不本意きわまりない。
 でも私が一松さんに助けを求めるのは、筋違いだろう。
 いずれ帰ることも考えれば、復縁するのが正しいとも思えない。

「そう。それなら良かった」
 一松さんのホッとしたような声が聞こえた。
「え?」

「『幸せ』って言われてたら、どうしようか考えてなかったから」

 振り向く。一松さんはものすごく疲れた顔をしていた。
 いや疲れたというかすごく追い詰められている、病んだ顔。
「一松さん……」
 そんな顔をさせたのは私だろうかと、つい彼に近寄る。
 そこで立ち止まった。
「ん?」
 彼の手に、紙切れが握られているのが見えた。

「あ、それ、私の宝くじじゃないですか」

 いつぞや拾ったものだけど。でも万が一当たるかも、と神棚に飾っておいたものだ。
 そういえば、今日が当選番号発表日だっけ?
 一発逆転のチャーンス! すぐ番号を確かめねば。

「それ、私のですよ。返して下さい」
「嫌だね」
「ちょっと、一松さん」

 ふざけあうには、私たちはちょっと疲れている。
 手を伸ばして一松さんから紙切れを取ろうとする。

「んん?」
 お腹に違和感を抱いた。

 一松さんが、私のお腹に黒い機械のようなものを押し当てていた。
 これ、アニメか映画で見たような……。

「何ですか? これ」
「スタンガン。本当はいけないんだけど、改造してある。
 人体を気絶させられるくらいには強力になってるかな」
「へー。それはすごいですね。さすが一松さん……え?」

 バチッ。

 そして、私の意識は闇に沈んだ。




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